内定先で使うIT資格|入社前にAZ-900かCLFを取っておく価値
こんにちは。早慶合同就活会議です。
「内定が出たあと、入社まで何をしておけばいいですか?」——内定者からよく届く質問です。卒業旅行や趣味で時間を過ごすのも大切ですが、もし内定先がIT系・コンサル・大手SIerであれば、入社前に入門レベルのクラウド資格を1つ取っておくことを強くおすすめします。
この記事では、入社前に取得しやすく、配属後の業務にも直結しやすい3つの入門資格——AZ-900(Microsoft Azure Fundamentals)、AWS CLF(Certified Cloud Practitioner)、ITIL 4 Foundation——を比較しながら、それぞれの特徴・コスト・勉強時間の目安、そして実際に入社後どんな場面で活きるかを解説します。
目次
- 内定〜入社の半年は「投資効率がいちばん高い」時期
- AZ-900(Microsoft Azure Fundamentals)の特徴
- AWS CLF(AWS Certified Cloud Practitioner)の特徴
- ITIL 4 Foundationの特徴
- 3資格の比較——コスト・難易度・所要時間
- 業界・配属別のおすすめ
- 勉強の進め方——内定者の標準的なペース
- 入社後の評価につながる話
- まとめ
1. 内定〜入社の半年は「投資効率がいちばん高い」時期
内定が決まってから入社までの期間は、人生のなかでも時間の自由度がもっとも高い時期のひとつです。学業の負荷が落ち着き、就活のストレスから解放され、社会人としての義務もまだない。この期間に何をするかで、入社1年目のスタートダッシュが大きく変わってきます。
とくにIT・コンサル・SIerを内定先として選んだ方にとって、入門レベルのクラウド資格は次の3つの理由で「投資効率の高い学び」になります。
理由1:配属後のキャッチアップ時間を圧縮できる
入社後の研修では、Azure・AWSなどのクラウド基礎を扱う企業が増えています。事前に基礎用語を理解していれば、研修中に置いていかれる心配がなく、むしろ周りより半歩先に進める余裕が生まれます。
理由2:配属希望の交渉材料になる
新入社員研修後の配属面談では、「どんな技術領域に関心があるか」を聞かれます。資格を持っていると、口だけでなく行動として関心を示した実績になるため、希望部署への配属可能性が高まります。
理由3:受験料が自己負担でも回収しやすい
入門レベルのクラウド資格は受験料が1〜2万円台と高くはありません。入社後に会社の資格手当・取得報奨金で還元される企業も多く、実質的な自己負担はゼロまたは数千円で収まることが珍しくありません。
時間と金銭の両面で見て、内定者期間に取るほどコスパの良い学びは少ない——これが、入社前資格をおすすめする最大の理由です。
2. AZ-900(Microsoft Azure Fundamentals)の特徴
AZ-900は、Microsoft Azure(マイクロソフトのクラウドサービス)の入門資格です。Azureの基本概念、主要サービス、料金体系、セキュリティの考え方などを広く浅く問われます。
こんな人におすすめ
- 内定先がSIer・大手日系企業・コンサルで、Azure案件に関わる可能性がある方。
- とくに官公庁・金融・大手製造業は、セキュリティ要件の観点からAzureを選定するケースが多く、これらの業界のSIer配属では押さえておきたい資格です。
試験概要
- 試験時間:60分前後
- 問題数:40〜60問程度
- 合格点:700点/1,000点
- 受験料:12,500円(税込・2026年6月時点)
- 受験形式:Pearson VUEテストセンターまたはオンライン受験
学習時間の目安
IT知識ゼロの状態からなら30〜50時間、SPI・基本情報技術者試験などで基礎用語に触れたことがあれば20〜30時間程度で合格レベルに到達できます。1日1時間ペースで1〜2か月、というのが内定者の標準的な学習期間です。
教材
- Microsoft Learn(公式の無料学習サイト):これだけで合格水準まで届きます
- Udemy・参考書(補助教材として):体系的に学びたい方向け
- 過去問サイト(Whizlabs・examtopicsなど):本番形式の演習用
3. AWS CLF(AWS Certified Cloud Practitioner)の特徴
AWS CLFは、Amazon Web Services(アマゾンのクラウドサービス)の入門資格です。AZ-900のAWS版と考えると分かりやすいです。
こんな人におすすめ
- 内定先がWeb系・スタートアップ・大手SIerで、AWS案件に関わる可能性がある方。
- とくにメガベンチャー・スタートアップ・新興のSaaS企業はAWSを採用する傾向が強く、これらの会社への内定者には最優先で検討してほしい資格です。
- グローバル展開している大手企業の海外拠点も、AWSを選定するケースが目立ちます。
試験概要
- 試験時間:90分
- 問題数:65問
- 合格点:700点/1,000点
- 受験料:100ドル(米ドル建てのため、為替で多少変動)
- 受験形式:Pearson VUEテストセンターまたはオンライン受験
学習時間の目安
AZ-900と同程度で、IT知識ゼロから30〜50時間、基礎がある方は20〜30時間ほどが合格目安です。AWSはサービス名の独自性(EC2・S3・IAMなど)が強く、用語に慣れるまでが少し負荷高めですが、用語さえ覚えれば概念は素直に理解できる試験です。
教材
- AWS Skill Builder(公式の無料学習サイト)
- 市販の参考書(クラウド系の定番書がいくつかあります)
- Udemy・YouTubeの無料講座
4. ITIL 4 Foundationの特徴
ITIL 4 Foundationは、ITサービスマネジメントの国際的なフレームワーク資格です。AZ-900・CLFのような「特定クラウドの知識」ではなく、ITサービスを運用する組織のベストプラクティスを学ぶ資格です。
こんな人におすすめ
- 内定先がSIer・コンサル・大手日系企業のIT部門で、運用・保守の業務に関わる可能性がある方。
- システムの新規構築よりも、運用・サポート・障害対応を中心とする業務に配属される見込みの方。
- インフラ運用部門・ヘルプデスク部門・PMO部門への配属を希望する方。
試験概要
- 試験時間:60分
- 問題数:40問
- 合格点:65%以上
- 受験料:おおむね4〜5万円台(試験提供機関による)
- 受験形式:オンライン受験または認定研修機関での集合受験
学習時間の目安
20〜40時間程度が一般的です。ITILは概念中心の試験で、用語の整理さえ済めば合格しやすい一方、用語の量が多いため暗記の時間がそれなりに必要です。
教材
- 認定研修機関の研修(高額ですが体系的に学べる)
- 市販のITIL 4 Foundation対策本
- 過去問サイト(英語含む)
5. 3資格の比較——コスト・難易度・所要時間
3資格をまとめて比較すると、次のようになります。
| 項目 | AZ-900 | AWS CLF | ITIL 4 Foundation |
|---|---|---|---|
| 受験料 | 約12,500円 | 約15,000円(100ドル) | 約40,000〜50,000円 |
| 学習時間 | 20〜50時間 | 20〜50時間 | 20〜40時間 |
| 難易度 | やや易 | やや易 | 普通 |
| 業務直結度 | Azure案件で高 | AWS案件で高 | 運用全般で高 |
| 教材入手のしやすさ | 公式無料Learnあり | 公式無料Skill Builderあり | 公式の無料教材は限定的 |
コスパで選ぶならAZ-900かAWS CLF、と覚えておけば大きく外しません。受験料も学習時間も同程度で、公式の無料教材が充実しており、未経験から1〜2か月で合格できる現実的なゴールが見えやすい資格です。
ITIL 4は受験料が高めですが、特定のクラウド知識に依存しない普遍的な内容なので、「どのクラウドの会社か配属まで分からない」というSIer内定者にとっては、汎用性で勝る選択肢になります。
6. 業界・配属別のおすすめ
内定先と配属見込みから、どの資格を優先すべきかを整理します。
大手SIer(NTTデータ・NEC・富士通など)
第一候補はAZ-900。日系大企業の案件はAzureが主流で、官公庁・金融案件でとくに利用率が高いです。AWS CLFも将来的に役立ちますが、まずAZ-900を取って配属後の業務に直結させるのが効率的です。
入社後の配属で運用部門に行く可能性が高い方は、ITIL 4 Foundationも候補に入ります。とくに大手SIerでは「運用保守チームに新人を配置→数年後にプロジェクト側に異動」というキャリアパスが珍しくないため、運用知識を持っていることが有利に働きます。
Web系・メガベンチャー(メルカリ・サイバーエージェントなど)
第一候補はAWS CLF。Web系・メガベンチャーはAWSを採用する企業が圧倒的多数で、社内コミュニケーションも「EC2」「S3」「Lambda」といったAWS用語で行われます。AWS CLFを取っておくと、入社直後の会話についていけます。
外資系コンサル(アクセンチュア・デロイト・PwCなど)
AZ-900・AWS CLFどちらでも可。コンサルはクライアントに合わせて両クラウドを扱うため、どちらの基礎知識も役に立ちます。コンサルではマルチクラウド対応が求められるため、入社後にもう一方の資格も追加で取る方が多いです。
ITIL 4 Foundationは、コンサルでは案件説明資料に登場することがあり、用語の理解として役立ちます。
IT以外の大手日系企業(メーカー・商社・金融など)
IT職以外の配属見込みであっても、AZ-900は無駄になりません。事業会社のIT部門・DX推進部門でAzureを使う企業が増えているため、配属が読めない時点で取っておくと将来の選択肢が広がります。
7. 勉強の進め方——内定者の標準的なペース
最後に、内定者期間に資格を取るための実践的なペースを紹介します。
ステップ1:内定承諾後すぐに資格を1つ選ぶ
内定承諾の意思を固めたら、その日のうちに取得する資格を1つ決めてください。複数を並行で狙うと中途半端になりがちなので、まずは1つに絞ります。配属業務の方向性が見えにくい場合は、汎用性の高いAZ-900が無難な第一手です。
ステップ2:教材を1つに絞る
合格までの教材は**「公式の無料サイト+過去問1セット」**で十分です。複数の参考書に手を出すと進捗が遅れます。
- AZ-900:Microsoft Learn+過去問サイト
- AWS CLF:AWS Skill Builder+過去問サイト
- ITIL 4:認定研修機関の教材+過去問対策本
ステップ3:学習スケジュールを引く
1日1時間×週5日のペースで、目安1〜2か月を見ておくと余裕があります。卒業旅行や帰省などの予定を組み込んで、無理のないスケジュールを立ててください。
- 1〜2週目:教材を一通り読み通す(理解度は問わない)
- 3〜4週目:過去問を解いて分野ごとの理解度を把握
- 5〜6週目:苦手分野を重点的に復習
- 7〜8週目:本番形式の模試で時間配分を確認、受験申し込み
ステップ4:受験申し込みは「2週間前」までに
受験日を先に確定してしまうと、勉強のペースが安定します。「いつでも受けられる」と思っていると後ろ倒しになりがちなので、教材を1通り読み終わった時点で2週間後の日付で受験予約を入れてしまうのがおすすめです。
入社前のAzure・AWS資格選びでもう少し踏み込んだ比較を読みたい方は、内定先で使うAzure/AWS資格の選び方も参考になります。
8. 入社後の評価につながる話
「資格を取っても入社後に評価されないなら意味がない」——そんな声を聞くこともあります。実態としては、取得した資格が直接的な評価点になることは少ないですが、間接的な効果は確実にあります。
効果1:研修で目立たない安心感
入社後の新入社員研修では、IT基礎・クラウド基礎の講義があります。事前に資格レベルの知識を持っていると、研修中に質問されても落ち着いて答えられますし、グループワークでも知識を持つメンバーとして頼られる立場になります。この「最初の印象」が、その後の配属・案件アサインに静かに効いてきます。
効果2:配属面談での説得力
新入社員研修後、配属希望を出す面談があります。「クラウドに興味があります」と言うのと、「AZ-900を内定者期間に取りました」と言うのとでは、発言の重みがまったく違います。希望部署への配属可能性が、目に見えて上がる場面です。
効果3:資格手当・取得報奨金
多くの企業では、業務に関連する資格に対して取得報奨金(一時金)や月額の資格手当が支給されます。AZ-900・AWS CLFクラスでも、1万円〜3万円程度の報奨金が出る企業は珍しくありません。入社前に取った資格も、入社後に申請すれば支給対象になるケースが多いので、受験料の元は十分に取れます。
効果4:上位資格への足がかり
AZ-900を取ると、その上位のAZ-104(Azure Administrator Associate)への学習がスムーズに進みます。AWS CLFを取れば、SAA(Solutions Architect Associate)への階段が見えます。最初の1段を内定者期間に登っておくと、入社2〜3年目の評価面談で「次の上位資格」を提示できる——これがキャリア上もっとも大きな副次効果です。
9. まとめ
内定後の資格選びのポイントを整理します。
- 内定〜入社の期間は時間の自由度がもっとも高い時期。1〜2か月の学習で取れる資格は投資効率が高い。
- 入門レベルでコスパが良いのはAZ-900・AWS CLF・ITIL 4 Foundationの3つ。
- 内定先が大手SIerならAZ-900、Web系ならAWS CLF、運用部門配属見込みならITIL 4が第一候補。
- 学習は公式無料教材+過去問1セットに絞り、1〜2か月で集中して取り切る。
- 入社後は研修・配属面談・資格手当・上位資格への足がかりとして効いてくる。
内定後の時間は、卒業旅行や趣味に使うのも大切です。同時に、1か月だけ集中して入門資格を1つ取っておくことは、入社後3年間のスタートダッシュを変える、コスパの高い自己投資でもあります。両立できる範囲で、ぜひ検討してみてください。
よくある質問
Q. 内定先がIT系ではないのですが、それでも取る価値はありますか?
事業会社のIT部門・DX推進部門に配属される可能性がある方は、AZ-900を取っておく価値があります。直接の業務でクラウドを触らない部署であっても、社内のIT基盤の理解は仕事を進めやすくします。完全にIT無縁の業務(人事・経理・営業の最前線など)であれば優先度は下がりますが、ITリテラシーの証明として履歴書に記載できるメリットは残ります。
Q. AZ-900とAWS CLFの両方を取るべきですか?
内定者期間で両方は時間的に厳しいので、まずはどちらか1つを取り切ることをおすすめします。第一候補は内定先で利用率が高いほう。両方欲しい場合は、入社後の最初の半年で2つ目を取る計画にすると無理がありません。
Q. 落ちたらどうすればいいですか?
AZ-900・AWS CLFは再受験が可能です。AZ-900は1回目の不合格後24時間以上空けて再受験、AWS CLFは14日空けて再受験が認められています。受験料は再度発生しますが、不合格時の費用も含めて取得計画を立てておくと精神的に楽です。なお、過去問サイトを最低でも2セット解いてから本番に臨めば、初回合格率は十分高くなります。
Q. 大学の授業や卒論で忙しい時期に資格取得を始めるのは現実的ですか?
無理のない範囲で進めてください。週5日×30分でも構いません。卒論優先・資格は隙間時間、というペース配分で問題ありません。資格は卒業後の春休み期間に集中して取り切る計画でも遅くはないので、学業との優先順位は柔軟に判断してください。
Q. 上位資格(AZ-104、AWS SAAなど)を最初から狙うのはどうですか?
入門資格を飛ばして上位資格から挑戦することも不可能ではありませんが、おすすめしません。上位資格は実務経験を前提にした問題が多く、未経験者がいきなり挑むと学習時間が3〜4倍に膨れます。入門資格→入社後の業務経験→上位資格という階段を踏むほうが、最終的な総学習時間は短くなります。