早慶合同就活会議
WEBテスト対策

WEBテストで報じられた逮捕事例は何だったのか|経過と罪名を整理

こんにちは。早慶合同就活会議のWebテスト解答集チームです。

「WEBテストで逮捕者が出た」という話を検索で見かけたけれど、それが何の事例だったのかまでは確かめていない——という方は多いと思います。この記事は、報じられた事例の経過と罪名を、出典付きの事実だけで整理したものです。当サイトとしての法的な評価は書きません。読んだあとにご自身で一次情報へたどり着けるよう、参照したURLは末尾に全部並べておきます。

目次

  1. 結論:報じられた事例は、他人が代わりに受検したケース
  2. 事件の経過(2022年11月の逮捕から2023年3月の判決まで)
  3. 問われた罪名は何か
  4. 判決の内容(懲役2年6月・執行猶予4年)
  5. 報道と弁護士事務所の解説に「解答集」への言及はあるか
  6. 同じ検索結果の中で、説明が分かれている点
  7. 一次情報を自分で確かめる手順
  8. まとめ

1. 結論:報じられた事例は、他人が代わりに受検したケース

WEBテストをめぐって逮捕・有罪判決が報じられた事例は、他人になりすまして代わりに受検した「受検代行(替え玉受検)」のケースです。

日本経済新聞は2023年3月28日、就活「替え玉」事件、関西電力元社員に有罪判決 東京地裁という見出しでこの判決を報じています。同記事によれば、起訴された事実は、2022年3月から4月にかけて3人になりすまし、カード会社や商社、コンサルティング会社のウェブ型適性検査を不正に受検した、というものです。

つまり報じられているのは、「受検者本人ではない人物が、受検者になりすまして受検した」という行為です。ここを最初に押さえておくと、検索結果に出てくるさまざまな説明のうち、どれが同じ話をしていて、どれが別の話をしているのかが見分けやすくなります。

なお本記事では、報道されている個人名は記載しません。

2. 事件の経過(2022年11月の逮捕から2023年3月の判決まで)

逮捕から判決までは、およそ4か月です。確認できる出典とあわせて、時系列で並べます。

時期 出来事 確認できる出典
2019年3月ごろ 受検代行を始めたとされる(SNS上で「ウェブテスト代行」を名乗るアカウントを開設したのは、その後と報じられている) 日経ビジネス電子版(2023年5月25日)
2022年11月 受検代行をしていた会社員男性の逮捕が報じられる(勤務先が関西電力であることは、のちの報道で確認できる) Authense法律事務所コラム(2022年11月25日付)
2022年12月9日 「Webテスト「替え玉」疑い、関西電力社員を再逮捕 警視庁」の見出しで再逮捕が報じられる 日本経済新聞(2022年12月9日)
2023年3月28日 東京地裁が懲役2年6月・執行猶予4年の判決(求刑 懲役2年6月) 日本経済新聞(2023年3月28日)

2022年11月の逮捕については、Authense法律事務所が同月25日付でWebテスト替え玉受験で逮捕!私電磁的記録不正作出罪とは?というコラムを公開しており、逮捕が報じられた時期を確認できます。翌12月には、日本経済新聞がWebテスト「替え玉」疑い、関西電力社員を再逮捕 警視庁(2022年12月9日)という見出しで再逮捕を報じています。なお、この記事は現在、見出しと掲載日は表示されるものの、本文の掲載期間は終了しています。

受検代行の全体像については、日本経済新聞が延べ約300人、400万円超の報酬、対象企業は延べ数千社と報じています。日経ビジネス電子版の替え玉受験で有罪判決も 就活は「化かし合い」、晴れぬ不信の闇(2023年5月25日)も、2019年3月ごろに受検代行を始め、2020年11月から2022年7月にかけて延べ約300人から約400万円の報酬を得ていたと伝えています(同記事は有料記事で、ここで確認できたのは無料公開部分です)。

3. 問われた罪名は何か

問われたのは、私電磁的記録不正作出罪と、同供用罪です。日本経済新聞は判決の罪名を「私電磁的記録不正作出・同供用の罪」と記しています。

この罪名について、条文と法定刑まで書いている解説があります。小西法律事務所のWebテストを替え玉受験した場合に成立しうる犯罪について(2022年12月19日付・白岩健介弁護士)には、電磁的記録不正作出及び供用罪について刑法161条の2第1項・3項、法定刑は5年以下の懲役または50万円以下の罰金と記載されています。同コラムは、私文書偽造罪(刑法159条)と偽造私文書等行使罪(刑法161条)にも触れています。

記載されている罪名 条文 記載されている法定刑
電磁的記録不正作出及び供用罪 刑法161条の2 第1項・第3項 5年以下の懲役または50万円以下の罰金
私文書偽造罪 刑法159条 3月以上5年以下の懲役
偽造私文書等行使罪 刑法161条 私文書偽造罪と同一の刑

依頼した側についても記載があります。Authense法律事務所のコラム(2022年11月25日付・高橋麻理弁護士)には、替え玉受験を依頼した就活生についても同じ被疑事実で検察庁に事件送致されている、と書かれています。なお同コラムには、条文番号と法定刑の記載はありません。

いずれのコラムも公開は2022年時点のものです。法令や制度の記載を確認するときは、その解説がいつ書かれたものかを必ず見るようにしてください。

4. 判決の内容(懲役2年6月・執行猶予4年)

判決は、懲役2年6月・執行猶予4年です。求刑も懲役2年6月でした。言い渡したのは東京地裁、判決日は2023年3月28日です。

日本経済新聞は同日10時05分に配信し(11時35分更新)、被告を関西電力元社員(28歳)としています。日経ビジネス電子版も、同じ判決を「東京地裁、2023年3月28日、懲役2年6月・執行猶予4年、私電磁的記録不正作出・同供用の罪」として伝えています。

「逮捕者が出た」という短い言い方だけでは、逮捕なのか、起訴なのか、判決なのかが区別できません。段階が違えば、確定している事実の範囲も違います。

5. 報道と弁護士事務所の解説に「解答集」への言及はあるか

本記事で確認した4本の記事の中に、「解答集」という語は見当たりませんでした。実際に各記事を開いて確認した結果を、そのまま表にします。なお日経ビジネス電子版は有料記事のため、確認できたのは無料公開部分の範囲です。

確認した記事 媒体・執筆者 日付 「解答集」への言及
就活「替え玉」事件、関西電力元社員に有罪判決 東京地裁 日本経済新聞 2023年3月28日 見当たらない
替え玉受験で有罪判決も 就活は「化かし合い」、晴れぬ不信の闇 日経ビジネス電子版 2023年5月25日 見当たらない
Webテスト替え玉受験で逮捕!私電磁的記録不正作出罪とは? Authense法律事務所・高橋麻理弁護士 2022年11月25日 見当たらない
Webテストを替え玉受験した場合に成立しうる犯罪について 小西法律事務所・白岩健介弁護士 2022年12月19日 見当たらない

ここは読み違えられやすい箇所なので、はっきり書いておきます。これは「解答集について問題がない」という意味ではありません。 ここで言えるのは、これら4本が扱っているのは受検代行の事案であり、解答集について何かを述べたものではない、という事実だけです。

言い換えると、解答集について何かを判断したい場合、これら4本は判断の材料になりません。別の材料を探す必要があります。「確認できなかった」は「存在しない」の証明でもありません。

検索結果の自動要約では、この受検代行の事案が、そのまま解答集の話としてまとめられていることがあります。要約は元の記事そのものではないので、見出し・日付・罪名を元記事で確かめるのがいちばん早い方法です。

6. 同じ検索結果の中で、説明が分かれている点

同じ検索結果の中に、正反対の説明が同居しています

  • 解答集を見ながら受検することは明確な法令違反だと説明する記事
  • 解答集を使用したために逮捕された人はいないと説明する記事

当サイトは、このどちらが正しいかを断定しません。断定できるだけの一次情報を持っていないからです。「うちの説明が正しい」と書くほうが記事としては強く見えますが、それは読んだ方が自分で確かめる手がかりを奪うことになります。

代わりに、ここまでで確認できた事実だけをもう一度並べます。

  1. 報道と弁護士事務所の解説で扱われているのは、受検代行(替え玉受検)の事案である
  2. それら4本の記事に、解答集への言及は見当たらない
  3. 罪名として記載されているのは、私電磁的記録不正作出罪・同供用罪である

この3点は「解答集について何かが確定した」という意味ではなく、「これらの記事は解答集について何も述べていない」という意味です。ここから先の判断は、一次情報を見たうえでご自身で行ってください。当サイトが示せるのは、一次情報の所在までです。

なお、刑事上の話とは別に、テストの提供元が定める「不正行為とみなされる行為」の一覧という、もうひとつのレイヤーがあります。SPIのテストセンターFAQには、不正行為を発見した場合はその場で受検を中断し企業に連絡する旨と、不正行為とみなされる行為の一覧が記載されています。受検形式ごとに公式サイトへ何が書かれているかは、WEBテストの監視はどこまで?受検形式ごとの公式記述を整理にまとめました。

7. 一次情報を自分で確かめる手順

出典をたどる手順は、慣れれば5分で終わります。次の順番で見ていってください。

手順1:媒体名・見出し・掲載日をメモする

これだけで、その情報がいつの時点のものかが分かります。制度や運用は変わるので、日付は罪名と同じくらい重要です。

手順2:「疑い」か「判決」かを見分ける

見出しに「疑い」「容疑」とあれば逮捕・捜査の段階、「有罪判決」とあれば判決の段階です。

手順3:罪名を控えて、条文そのものを引く

e-Gov法令検索などで条文本体を読みます。解説の要約ではなく条文を見ると、その罪名が何を対象にしているのかが分かります。

手順4:解説記事は「誰が書いたか」を見る

弁護士による解説なら、弁護士名・所属事務所・掲載日が明記されているかを確認します。書き手が分からない解説は、当たり外れを判断しようがありません。

手順5:扱っている行為が、自分の知りたい行為と同じかを確かめる

ここがいちばん大事です。受検代行について書かれた記事は、受検代行についての記事です。 この一点を確かめるだけで、検索結果の混乱の大半は整理できます。

解答集そのものの種類や入手経路については、WEBテスト解答集とは?入手方法と選び方と、噂の切り分けを扱ったWEBテスト解答集の無料配布と『脅迫』の噂でも、確認できた事実と確認できていないことを分けて整理しています。

8. まとめ

  • WEBテストをめぐって逮捕・有罪判決が報じられた事例は、他人が代わりに受検した受検代行(替え玉受検)のケース
  • 経過は、2022年11月の逮捕報道 → 2022年12月9日の再逮捕報道 → 2023年3月28日の東京地裁判決
  • 判決は懲役2年6月・執行猶予4年(求刑 懲役2年6月)、罪名は私電磁的記録不正作出・同供用の罪
  • 条文と法定刑は、小西法律事務所のコラムに刑法161条の2第1項・3項、5年以下の懲役または50万円以下の罰金と記載されている
  • 本記事で確認した4本の記事に、「解答集」への言及は見当たらなかった。ただしこれは解答集について何かが確定したという意味ではない
  • 検索結果には正反対の説明が同居している。当サイトは判断せず、一次情報の所在だけを示す

「逮捕者が出た」という一言は、それだけでは何も特定していません。何の行為が、どの罪名で、どの段階まで進んだのか——そこまで見て初めて、自分に関係のある話かどうかが分かります。落ち着いて出典をたどるところから始めてください。

よくある質問

Q. WEBテストの解答集を使って逮捕された人はいるのですか?

本記事で確認した報道・弁護士事務所の解説4本の範囲では、逮捕・有罪が報じられているのは受検代行(替え玉受検)の事例で、解答集への言及は見当たりませんでした。ただし「確認できなかった」は「存在しない」の証明ではありません。当サイトは法的な判断は行いませんので、判断に必要な場合は末尾の一次情報をご自身で確認してください。

Q. 替え玉受検を依頼した学生はどうなったのですか?

Authense法律事務所のコラム(2022年11月25日付)には、替え玉受験を依頼した就活生についても同じ被疑事実で検察庁に事件送致されている、と記載されています。

Q. 判決はいつ、どこの裁判所ですか?

2023年3月28日、東京地裁です。懲役2年6月・執行猶予4年(求刑 懲役2年6月)と日本経済新聞が報じています。

Q. なぜこの記事には個人名が書かれていないのですか?

事例の理解に必要な情報ではないと判断したためです。この記事で扱いたいのは、何が問われた事案だったのかという事実関係だけです。

Q. 検索結果の要約に「違法」と書いてありました。信じていいですか?

自動要約は元の記事そのものではありません。要約が指している元記事の見出し・日付・罪名を開いて確かめてください。本記事の末尾に、確認できるURLを並べてあります。

参考にした一次情報

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